日常の一コマ

#心も溶かされ

「失礼します、緑屋先生」

夜の学校、来夢は科学の教師の緑屋臼江に理科準備室に呼び出されていた。
こんな時間に教師が一生徒を呼び出すなど、普通ではおかしいことである。
しかし、来夢は疑問に思わない……なぜならば教師緑屋は彼女が所属しているマジカルアグレッサーの幹部であるから。

幾ら洗脳前の人気者を表面上で取り繕おうと、今の来夢は最早マジカルアグレッサーの傀儡でしかないから……何の疑問も抱かずに理科準備室にやってきた。

「待っていたよ、来夢さん。学校の方は上々のようだね」

「ありがとうございます」

理科準備室に座っていた教師は嫌みったらしく言っては近付いていく。
来夢は教師の嫌みったらしい言い方に構わずお礼を言う。
しかし教師はその態度のまま不機嫌そうな態度を露にして来夢に詰め寄る。

「魔法少女との戦いの方はからっきしのようだがね!」

「……っ!申し訳ありません」

二度目の敗北、その戦績に苛立っているいるようだった。

「ああ、もういいさ……。キミにはもう期待しない、せめて最期は派手に散ってくれるか?」

「さ、最期なんて、な、何を……あ"あっ!?」

狼狽する様子を見せる来夢に教師は指を突き立てる。

「安心したまえ、戦えるほどには中身を詰めてやる。何も考えられなくなるほど……洗脳もかけてやるがね」

「あ、ぁあっ……あっ……」

薄れていく意識の中、来夢は心の中でユラに謝罪をした。